国土強靭化計画:公共事業を見つめなおしてみよう

公開日: : 政策

The Road Ahead
by mkrigsman

安倍政権は、国土強靭化計画を掲げ、防災・復興を中心とした公共事業を行うといっています。公共事業には無駄であるだとか、悪いイメージがついている方が多いのではないかと思います。そもそも公共事業は、政府が介入しなければ作られないが、多くの人にとって必要であるもの(社会資本)を作るために行われます。例えば、道路、上下水道などが挙げられます。しかし、公共事業はその仕組みから不正の温床になっていってしまうのです。今回は、公共事業の効果、地方と公共事業がどのように関係してきたか、という点から公共事業を見つめなおしていきます。

公共事業の2つの効果

公共事業は、そもそも皆が必要なものを作るのが目的です。しかし、公共事業には副次的なメリットもあります。しばしばごっちゃにされて議論されることがあるので、公共事業の2つの効果についてまとめてみます。

  1. 公共事業におけるストック効果(本来の目的)
  2. ストック効果とは、作られたものが使用されることで得られる効果です。例えば、公共事業でA市とB市をつなぐ高速道路を建設したとします。今までは、A市からB市へ向かうのに5時間かかっていたのが、高速道路を使うことによって1時間になりました。移動する時間が少なくなれば、例えば企業が物をA市からB市へものを運ぶ場合、トラックの運転手の人件費、燃料代などが節約されます。

  3. 公共事業におけるフロー効果(副次的目的)
  4. 公共事業を実際に行うのは、民間の企業です。そして、公共事業を行うのには多額の資金がかかるのが一般的です。例えば、高速道路を作る時には、建設する人はもちろん必要ですが、そのほかにコンクリートであったり、鉄筋であったり、が必要になってきます。すなわち、高速道路を作ろうとすると、建設会社以外にも様々な企業が利益を得ることができるのです。
    しかし、こちらは本来の目的ではありません。もしも、様々な企業が利益を受けるようにしたいのであれば、公共事業以外にも、減税を行ったり、給付金を与えたり、他の方法があるからです。(極論すれば、この目的のみを達するためには穴を掘って埋めるというような公共事業がなりたってしまう。)

公共事業にはびこる不正

  1. 談合が行われる可能性
  2. 公共事業を実際に行うのは、民間の企業である、と述べましたが、詳しい仕組みを説明すると以下のようになります。まず、政府が高速道路を作りたいのですが、という依頼を技術力のある企業何社かにかけます。そして、高速道路を作りたい企業たちは、これくらいの金額で作ります、と入札します。その後、政府は適正な範囲で最も安い価格のところに任せます。(指名競争入札制度)

    指名競争入札制度指名競争入札制度

    しかし、ここで不正が行えてしまうのです。指名された企業というのは、そこまで多くありませんから、指名された企業同士で、順番に公共事業を受注することを決めます。受注するには、他の企業より少しでも安ければいいのです。ですから、受注することになった企業は高めに金額を書き、他の企業はそれよりもちょっと高く金額を書きます。こうすることで、公共事業を高く請け負うことができるのです。これが談合です。

    談合のシステム談合のシステム
  3. 政治家と地域の癒着
  4. 公共事業は、経済規模が大きく、大きな需要を生みます。そのため、各政治家は地元で公共事業を行おうとします。地元で公共事業が行われれば、一時的に仕事が生まれ、失業率なども下がります。すると、住民はあの政治家が公共事業を行ったおかげで生活が楽になったと思いこみ、公共事業を誘致した政治家を支持するようになります。
    もしも、行った公共事業が多くの人に利用される価値のあるものであれば、さらに大きな利益をもたらしますが、今まで政治家は意味のない公共事業も行いました。意味のない公共事業でも一時的には、効果があるからです。しかし、結局は国の負債が増え、国全体の経済が悪くなり、地域経済に波及し、自らも苦しむことになります。

適切な公共事業とは

まず、公共事業に関しては不正をなくす仕組み作りが必要です。談合については、初めに企業を指名しない一般競争入札という制度の導入などによって、改善の傾向にあります。不正については、国民一人一人が少しでも関心を持ち、目を光らせることが重要になってきます。
ただ、全ての公共事業が意味のないものになるわけでは決してありません。適切な場所に高速道路を建設することは、地域経済、日本経済双方にとってプラスになります。また、経済的なメリットだけでなく、トンネルが崩壊するような事故を防ぐために、あるいは、先の大震災のような災害が起こったときに被害を最小限に抑えるための公共事業はある程度必要でしょう。しかし、どの程度が適切な公共事業であり、どこからが無駄な公共事業であるのか、ということについては議論が分かれているのが現状です。

※1 公共事業それ自体の必要性以外にも、必要な費用を借金していいのか、という問題ももちろんあります。

○国土強靭化計画について
国土強靭化基本法(自民党ホームページ)
概要はわかりやすく解説されているので、読んでみるといいかもしれません。

○おすすめの参考文献
これで納得!公共事業 必要と無駄の境界線 公共事業について特によくまとまっていました。より深く知りたい方は、ご参照ください。

○その他の参考文献
公共事業が日本を救う (文春新書) 公共事業の正しい考え方―財政赤字の病理 (中公新書)

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