アベノミクスによる円安と通貨戦争:浜田宏一氏の議論を参考に

公開日: : 日本と世界

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By davebarger

アベノミクスによって、大幅に円の価値が下がっています。15日から行われている経済規模の大きい国の財務大臣・中央銀行総裁が話し合うG20においても、円の価値が急激に下がっていることに対して、諸外国から批判の声も少なくありません。そこで、今回は安倍政権による経済政策によって何が起こっているのか、安倍政権の経済政策のブレーンである浜田宏一氏の議論を参考にしながら、見ていきます。

通貨安競争(通貨戦争)の勃発?

安倍政権は、インフレターゲットを設定することによってインフレを起こすことにしました。インフレとは、物価(モノの値段)が一定期間上昇し続けることを言います。経済学の考え方にはいろいろな考え方があるのですが、安倍首相はデフレを強固に脱却することが経済を再生させると考えました。

インフレが起こると、円安になります。例えば、今までハンバーガーが1個300円だとしましょう。アメリカでも同じものが1個3ドルでした。この時、300円=ハンバーガー=3ドルなので、1ドル=100円になります。インフレによって、同じハンバーガーが1個600円になったとします。アメリカでの値段が変わらなければ、600円=ハンバーガー=3ドル、すなわち1ドル=200円になります。これは、円の価値が下がったことを意味します。(詳しくは、インフレターゲット政策について

円安になると、輸出がしやすくなります。1ドル=100円のとき、10万円のコンピューターはアメリカでは1000ドルで売られることになります。しかし、1ドル=200円になると、10万円のコンピューターはアメリカでは500ドルということになります。割安になるわけですね。こうなると、日本の輸出が増え、日本の産業が活性化し、日本の経済がよくなる、と考えられます。なので、各国は自国の通貨を安くしたいと考えています。自国の通貨を安くすれば、自国の商品を輸出することで儲けることができるからです。そのため、各国の財務相は懸念を示すことが多かったのです。

円安は日本のためになるのか?

しかし、逆もまたしかりです。円安になると、輸入は難しくなるのです。1ドル=100円の時、石油1ℓ=1ドルだったとしたら、石油1ℓ輸入するのには100円かかります。しかし、1ドル=200円になると、石油1ℓ=1ドル=200円となり、石油1ℓ輸入するのに200円かかることになります。

そのため、円安は日本のためにならない、と主張する人たちもいます。なぜなら、日本は輸出(約65兆円)よりも輸入(約68兆円)の方が多いからです。円安になれば、輸出有利・輸入不利になります。円安によって輸出で得られる利益よりも、輸入で起こるコスト増加によって、損をするということです。

もしも、このままの比率のままであるならば、日本は円安によって失うものが多いです。ここで議論になるのは、今後日本は輸出を伸ばせるか、つまり世界に魅力のある商品を作っていけるのか、ということになってくるでしょう。

通貨安による国際社会への影響

今までは、日本国内のみ見てきましたが、今度は国際社会にまで視野を広げてみましょう。

自国の通貨を安くすることによって自国の輸出を増やし、自国の産業を活性化させるという試みは、他の国に失業者を輸出しているだけではないか、という批判がなされます。

例えば、アメリカでソニー(日本)のテレビが1000ドル、サムスン(韓国)のテレビが700ドルで売られていたとします。これが円安によって、ソニーのテレビが500ドルになったとしたら、機能・性能が同じであれば、ソニーの方を買う人が多くなるでしょう。これによって、サムスンの業績は下がることになります。つまり、日本の景気は良くなるかもしれないが、韓国の景気は悪くなってしまう。

このような状況がエスカレートすると、韓国も通貨を安くしようとします。そして、他国もそれに続いて自国通貨を安くしようとします。これが、通貨安競争(通貨戦争)です。

通貨安だけで自国の輸出を増やせなくなれば、輸出を維持するために、輸入を政府が制限するようになっていき、世界貿易が衰退する。結果として、世界経済が衰退してしまう。

これは実際、1930年代に起こったことで、第二次世界大戦という結末を引き起こしました。

しかし、安倍政権のブレーンである経済学者の浜田宏一氏は、そうは考えていないようです。なぜなら、通貨を安くするには限度があると考えているからです。モノの値段が上がるインフレは、あまりに急激に起こると、混乱してしまいます。(ハイパーインフレ)昨日100円でチョコバーが買えたのに、今日10000円になっていたら大変なことになるのは容易に想像がつきますよね。なので、自然に各国は自制しなくてはならなくなります。よって、通貨安を引き起こすことで経済が刺激されるという良い影響だけを各国は受けられることとなり、全体の経済がよくなる、としています。


○参考にした書籍・サイト
伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本
【日本の解き方】「円安で近隣窮乏化」という誤解 デフレ対策の緩和、堂々主張を(ZAKZAKホームページ) 円安が有利になるという説の矛盾点(Yahoo!ニュース)

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