取り調べの可視化問題:冤罪を防ぐのか、検挙を増やすのか

公開日: : 政策

天神橋4丁目交番
by S. H.

私たちの社会は、犯罪にどのように立ち向かうべきなのでしょう?

警察が、犯罪者を追い詰めるにあったって重要な手段が取り調べです。
近年、この取り調べの経過を全て録画しようという方向に進んでいます。

どういうことなのでしょうか?
今回は、取り調べの可視化についてのお話です。

取り調べとは?

法を犯す犯罪が悪いことは言うまでもありません。
悪いことをした人がいたら、逮捕して、罰しなければなりません。

ただ、本当に悪いことをしているかどうか、第三者にはわかりません。
証拠が必要です。
その証拠として、重要な位置付けにあるのが自白です。

そして、犯罪を行った可能性が高い人に対し、自白を促すのが取り調べです。(※1)
取り調べの際には、供述調書というものがつくられます。
「私は○○をしました。」という形で作られ、取り調べを受けた人がサインすると、証拠としての価値が高いものです。

自分で、私がやりました、といっているからです。

無実の罪で逮捕される可能性

ただ、日本での取り調べは問題点も多く指摘されています。

というのも、かなり長い時間、取調室に拘束されてしまい、そこから逃げたいが故にうその供述をする人がでてきてしまっているからです。警察としても、疑わしい人に早く事実を認めさせたいため、怒鳴ったりして、自白を強要します。
結果として、うその供述調書にサインしてしまい、逮捕され、罰せられる人がでてきているのです。

例えば、足利事件というのが有名な事件です。
女児を殺害した事件では、菅家利和さんが自白を強要され、誤認逮捕となり、17年間も刑務所にいることになってしまいました。

このような、現状を変えるために、取り調べの過程を全て録画しようという動きが近年強くあります。
そして、実際、一部の取り調べでは録画を始めています。

逮捕が難しくなる?

一方で、警察などの捜査機関をはじめとして、取り調べの可視化には反対意見も根強くあります。

まず、長時間にわたって行われる取り調べを全て録画するとしたら、それを全て見る必要がでてきます。
これは警察や裁判官などにかなりのコストになってしまうと主張しています。

また、組織的な犯罪の場合、取り調べが録画されてしまうと、組織の内情を暴露できなくなってしまう、という意見があります。
例えば、暴力団が覚せい剤を組織的に密輸していたとします。
それを売っている末端の売人が、捕まりました。
もし、捕まった売人が誰から仕入れているなどと詳しい内情を暴露してしまい、それが暴力団にばれてしまえば、売人は危険にさらされてしまいます。
暴力団が、情報を漏らせばこうなるとみせしめる可能性が高いからです。

結果として、犯罪者を社会にのさばらせることになってしまうのではないか、と警察などは懸念しているのです。

犯罪者をどう見極めるか、そして、どう社会の不正と戦うのか、というのは難しい問題です。
真実をどう見つけるのか、模索が続きます。

※1 被害者や関係する参考人にも取り調べは行われるのですが、今回は一番問題になる犯罪が疑われる人(被疑者)の取り調べに絞っています。

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